夢は小説家。そう言ったのはいつだったろう


by hikot6
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守り

~覚醒~オリジナルストーリー

風が動いた。
青緑色の足首まであるコートが、一瞬男の視界を塞ぐ。
瞬間。男は顎を心持上に持ち上げる状態で息を呑むこととなった。
銀色の冷たいものが、喉仏に突き立てられていた。
大きな柄には赤い刺繍のような模様があった。
それを小指だけ立てるようにして、つきたてたまま、女は冷たい目線で男に顔を近づける。
「何が目的で現れたの?黒い翼が丸見えよ」
女の声は男の脳の中心にまで、バイブレーションのように響いた。
「あなたをお守りするために・・・」
男は軽く指を刃物に当てると、ゆっくりと押し戻す。
男の背中にはいつのかにか、おおきな漆黒の翼が生えていた。
頭部には長くよじれた角が2本。
タイトなスーツはそれを更に異様な光景に見せたが、夜中2時の公園に居るのは、酒におぼれたホームレスと、長いコートをマントのように纏った色白の美女だけであったので、だれも反応はしなかった。
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# by hikot6 | 2007-06-11 00:17

覚醒

~覚醒~オリジナルストーリー

黒く長い影が、沈みかけた日を浴びて一瞬揺らいだ。
通り過ぎたベンチには、背中の曲がった老人が一人。
よく鍛えられたカモシカのような足を、惜しげもなく見せ付けるように、
女は仁王立ちで立ち止まると、ベンチに座った老人に声をかけた。
「いつから?」
老人は答える代わりに、杖を勢い良く女の足めがけて叩きつける。
女は地面を一蹴りして、ゆっくりと孤を描いて同じ位置に舞うように戻った。
「かなわんな・・・」
老人の座っていたベンチに、既に老人は居なかった。
かわりに、黒いタイトなスーツに身を包んだ、長身の男が老人が振りかざした杖を持って立っている。
男の顔には皮肉とあざけりの顔が満ち、女の顔にはイラついた顔が揺らいでいた。
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# by hikot6 | 2007-05-23 23:02